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「歴史・文化」を訪ねる

1,600年以上前につくられた稲荷森古墳

南陽市長岡地区には、東北地方7番目、県内最大の規模を誇る国指定史跡「稲荷森古墳」があります。形が極めて良く残っている古墳で、全国的にもこれほど形がきれいに残っている古墳は珍しいそうです。

 

全長97m、後円部は3段で高さ約10m、古墳時代の前期(4世紀)に築かれました。形は円と四角をつなげた前方後円墳と呼ばれるタイプです。円形の後円部に王の棺が埋められていると考えられています。横穴式石室が広まる以前の古いタイプの古墳であるため、掘った穴に木棺を直に埋めた木棺直葬(もっかんじきそう)という形式の古墳と考えられています。残りが良いのでタイムカプセルとして未来に伝承するため墓溝は発掘調査していません。

 

稲荷森古墳は置賜盆地を支配した王の墓と考えられており、古墳時代の南陽市の繁栄を物語るものです。稲荷森古墳の特徴を見ますと、一般的に古墳に存在する埴輪、葺き石、周壕がないことが特徴です。これは造られた時代的なものや地域的な要因と思われます。稲荷森古墳からは、後の埴輪の原型となる底部穿孔土器(ていぶせんこうどき)と呼ばれる古墳の祭祀用の特殊な土器が見つかっています。また、周壕もありませんが、そのかわり周囲に幅広い平場を持っていると思われます。

 

稲荷森古墳出土高坏(左)、同市内で稲荷森古墳と同じ古墳時代前期の蒲生田山3号墳出土底部穿孔壺(中)、蒲生田山4号墳出土壺(右)

 

後円部頂上から置賜盆地が一望できます。頂上から米沢方面(南)を見ると、盆地の中に戸塚山が見えます。戸塚山の頂上には稲荷森古墳より新しい前方後円墳があり、その石棺には女性の王が眠っていたことから、東北(置賜)の卑弥呼の古墳と呼ばれたことがあります。

 

 

また、稲荷森古墳の南側には長岡南森遺跡があります。東北最大級の古墳ではないかといわれており、平成28年度に最新の航空レーザー測量を行い、丘陵の姿が明らかになりました。その大きさや築造年代から、東北の古墳時代史が見直されるほどのインパクトがあり、全国的にも注目される古墳となります。今後の調査に期待がかかります。

 

 

 

【稲荷森古墳】

山形県南陽市長岡稲荷森1175

芝生広場、トイレ(身障者有)

駐車場(普通車10台、大型車2台)

※毎年12月から3月まで冬季閉鎖となります。

 

〈問い合わせ〉

南陽市教育委員会

南陽市三間通436-1

TEL:0238-40-3211

 

 

 

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